名古屋から革命を起す! 河村たかし(名古屋市長)著 読了
名古屋市長 河村たかし氏が2009年10月に著した、
これからの名古屋市政への方針、そして日本の政治のあり方についての
思いがまとめられたわずか94ページのリーフレットです。
振り仮名はついていませんが、学生が読むにも適した分量だと思います。
河村氏は、古紙リサイクル業を営む家業から政治の世界に入り、
26年間にわたって、衆議院議員を務めた後、
2009年4月に名古屋市長選挙に他の候補者を圧倒的に上回り勝利しました。
河村氏当選前まで年2750万円だった名古屋市長の給与を800万円にし、
4年毎に支給されていた退職金4220万円を辞退しました。
その河村氏は、行政改革の柱として、減税のほかないと指摘しています。
税金の無駄をなくすといっても、余ったお金は別の部署なり、
行政法人なりに使われ、税金を払った人に還元されることは現状ありません。
だからこそ、無駄遣いをなくし、
それを減税という形で国民に還元することが、
国民のための政治をおこなうことになると指摘されています。
また、財政危機の要因として、国債が多数発行されている現状には、
銀行が預金者から預かったお金を運用する仕向け先がなく、
消去法的に国債を受け入れている現実があることを指摘しています。
民間企業は、景気が良くないために、投資に資金を必要とせず、
地方公共団体も国からの財政状態の改善(借金減)を求めたため、
金融機関の有力な借り手がこぞって減少していることで、
国に借金を容易にさせ、結果として財政が悪化している現状を説明しています。
こういった前提があり、政治家が「公共の奉仕者」であるために、
究極のところボランティアで議員になり、短期間で交代していく方向が
地方自治、住民自治を活性化させるのにも効果があると提言しています。
実際に名古屋市では、3月末頃から8つの区で「地域委員会」がスタートします。
これは、小学校の校区を単位とした地域において、
子供の安全対策や災害対策などの住民生活に直結した
課題を市が予算をつけることで、その地域の人々に解決してもらう組織を
地域毎に運営してもらうという仕組みです。
委員会を構成する代表者は選挙で選ばれ、原則無給です。
まだ手探り状態とのことですが、この動きが本格的に普及すれば、
職業化してしまっている地方議員、そして国会議員のあり方も
大きく変わると河村氏は考えています。
私なりに感じた河村氏がもっとも強く掲げる点はいかにあると思います。
「まずいラーメン屋、経営努力をせんラーメン屋はどんどん潰れていくように、
政治の世界でもええ政治をやらなんだら、誰も見向きもせんようになる。
そしてその議員は路頭に迷うような、
そういうシステムをつくっていけばいいと思うとるのですよ。
これは厳しいけれども、商売の世界ではごくあたりまえのことで、
政治の世界にそのルールが適用されないなどということはあり得ないがや。
そうやって客から鍛えられていって、はじめて政治というものも国民のためになる、
そしてときには国民を感動させることもある、
魅力あるものになることができるのではないだろうか。」
食うもの食われるものが日々変化するビジネスの世界では
当然の感覚ですが、それが政治の世界とはあまりにも
かけ離れてしまったところが、現在政治の世界を国民から
遠い意識にしてしまっている面が間違いなくあります。
河村市長ではないですが、もっと沢山の人々が政治の世界にも
アクセスする必要が求められているのだと思います。
そして、一番影響の大きい、そして担い手の多い、ビジネスの世界からこそ、
その代表者を出していく時期なのかもしれないと考えさせられました。
河村市長、名古屋市の今後の行動にもさらに注目したいと思います。
JUGEMテーマ:ノンフィクション
評価:
河村 たかし 飛鳥新社 ¥ 750 (2009-10-23) コメント:薄いのに案外する、そんなアマゾン評価もありました。しかし河村市長に心持の印税を渡すという気分ならばよいではないですか。これまでいなかった日本の政治家です。 |