黒木町日記

実家のある福岡県の黒木町。2010年2月1日をもって、
八女市に吸収され、名前も聞く機会もめっきり減りました。
ちなみに、管理人は東京都暮らしを経て長崎県在住です。
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企業トップのデザイン観 浜野安宏著 読了。
評価:
浜野 安宏
講談社
---
(1985-06)
コメント:中内功さんの功績については今となってはダイエーの失敗ばかりが目立ってしまうが、改めて流通業界を大きくリデザインした人物だということがこの対談で明らかになっている。古くても読む価値がある良い対談集である。

浜野安宏氏との対談者(肩書きは昭和60年6月刊行当時)

 

大賀 典雄氏(ソニー株式会社代表取締役)

佐治 敬三氏(サントリー株式会社代表取締役社長)

松下 正治氏(松下電器産業株式会社取締役会長)

中内    㓛氏(株式会社ダイエー代表取締役社長)

山中  隼瓠奮式会社松屋代表取締役)

福原 義春氏(株式会社資生堂専務取締役)

江副 浩正氏(株式会社リクルート代表取締役)

杉浦 英男氏(本田技研工業株式会社取締役会長)

鬼塚 喜八郎氏(株式会社アシックス代表取締役社長)

 

商品から建物、街の設計まで、

様々なデザインのプロデューサーとして、

民間企業をクライアントとしてきた浜野氏の

人脈のすごさを感じさせる錚々たるメンバーが並んでいる。

 

この著書は、浜野氏が創刊から第4号まで編集長をしていた

デザイン誌「AXIS」に不定期連載されていたシリーズを

もとにして企画された企業トップのデザイン観を、

リラックスした雰囲気の中で、インタビューしたものである。

 

 

すでにこの本が刊行されて32年が経過しているし、

ここに記されている内容が陳腐化している部分ももちろんある。

しかしながら、企業トップがデザインに対して

十分な理解を要する必要性は現在も変わらない。

 

むしろ、長期にわたって経済環境が低迷しており、

消費マインドが乏しい状態が続くからこそ、

どうやって需要を喚起するか、そのポイントして、

デザインを理解することが問われることは必須であろう。

 

例えば、以下のポテトチップス新商品開発を巡る

ニュースを読んでみても、それは明確である。

55年間販売されてきたポテトチップスにおいても、

そのパッケージデザインだけでお客様に、

店頭で手に取っていただきやすい余地があったのだ。

http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1707/26/news012.html

 

 

商品に関するデザイン、マーケティングに関するデザイン、

そして、企業イメージに対するデザインなど、

お客様が商品・サービスを選ぶ選択肢において、

デザインが決定権を握っている側面は非常に大きくなっている。

 

もちろん、それはこの著書に記された経営者が

高度経済成長期以降、日本社会の変遷に合わせて、

様々な取り組みを行ってきたからこそ得られた結果でもある。

 

それから30年以上が経過して、IT技術の進展や

グローバルなブランドの進出などが起きているが、

商品・サービスの差別化において、

デザインの力が減少する事態どころか、ますます重要になっている。

 

例えば分かりやすい例を出せば、スマートフォンは多くの

企業がラインナップを行っていても、

日本ではまだまだiPhoneが高い市場占有率を有するのは、

本体はもとよりサービスまで含めたデザイン一貫性に要因がある。

 

この著書の刊行から32年が経過した2017年現在、

ソニー、サントリー、パナソニック、イオン(ダイエーを吸収)、

松屋百貨店、資生堂、リクルート、ホンダ、アシックス、

これらの企業は影響力の変化はともかく、

日本の消費者に何らかの消費行動を促す

ブランドデザインを提供し続けている。

 

一例を挙げると流通業界でプライベートブランドを大きく始めたのは

ダイエーであるが、イオンにおいても大きな収益源であり続けている。

(この原点は、小売りがメーカーというデザインを廃したとも言える。)

 

この本に取り上げられている8人の経営者それぞれ、

デザインについては、企業独自の価値を高めるものとして、

それぞれの視点で重要性を語っているので、

全てを紹介しても良いのである。

それをするとキリがないので、今でもデザインセンスの優れた

リクルートの創業者である江副氏と浜野氏の対談をご紹介したい。

 

(以下、本文197p-198pより引用)

 

江副社長ー

話は変わりますけれども、多少、私の話をさせてもらえば、

ぼくは仕事を始めてちょうど三年目ぐらいの若い時分、

旧中島邸という下宿屋で、酒の味がわかるという連中が

五人ぐらい集まりまして、ビールのブランド・テストを

やろうじゃないかということで、

味覚心理学をやっているやつがいたんです。

 

舌がどの程度わかるか。

それから、温度が上がれば甘味を強く感じるとか、

ある程度下がっても強く感じる。

 

そういう味覚を専門にする心理学の大学院の学生がいまして、

そいつが、それじゃみんなにおれがテストするといって、

当時、サントリーはなかったですけれども、

キリンとアサヒとサッポロを飲み比べしたんです。

 

被験者が五人いまして、全然わからないんですよ。

確率的に見るとだれもがわからない。

みんなわかっていると思っているわけですよ。

おれはこんなのわかるよと言いながらだれもわからないんですね。

 

10回ぐらい何回も何回も回し飲みさせるわけで、

これはキリン、これは何、だんだんわからなくなってくるんです。

確率的にみるとだれもわかっていない。

本人はわかっているつもりでいる。

 

これはやはり宣伝とかパッケージとかいうものが

すごく大事なんだなとその時ぼくは思ったんですね。

 

浜野氏ー

それが原点になっているわけですね。

 

江副社長ー

これはおいしいとかまずいとか思い込んでいるけれども、

すごくそれに付随するお話とかパッケージとか雰囲気とか

いうものがすごく左右すると思うんです。

 

料理屋で「吉兆」というお店がありますけれども、

そこは、これは明石でとれたタイですとか、

京都でできた賀茂ナスだとか、十津川のアユですとか、

話がきれいにできているわけです。

色といい、盛りつけといい素晴らしい。

そういうものでおいしくなるんですな、同じものでも。

 

これが黙ってほかの皿に移して、ほかの部屋で食べたら

うんとまずくなるというか、そういうことないですか。

 

浜野氏ー

まったくそうですね。「吉兆」のああいう盛り付け

というのはフランス料理にすごい影響を与えているんですね。

ヌーベル・キュイジーヌなんかまったく「吉兆」の影響ですよ。

それをまた日本ナイズして、キュイジーヌ・シセイドウ

なんてできたでしょう。

あれの皿なんか西洋皿なんだけども、

いろいろ柄とか色が入っているんですよ。

それにどううまく置くかという、あしらいというのが

入り始めたんです、西洋料理に。だから、食もデザイン・・・・。

 

江副社長ー

そのへんのデザインというのは大事だと思いますね。

 

浜野氏ー

特に日本料理というのはデザインを

ものすごくうるさく言ってきましたね。

(以下省略)

 

 

この対談でも露呈しているように、日本人は日本の文化に合わせて

様々な材料をアレンジしてデザインセンスを磨いてきたこと、

それをうまく現代の企業サービスに生かすことを

稀代の経営者は、欧米の技術革新とともに考えてきた。

 

これは昭和時代から平成時代になっても変わらないはずである。

なぜなら日本人は、様々な歴史文化を自然に感じ、

その精神構造の下で日常生活を送っているのだから、

どれだけ海外の商品サービスが入ろうと、影響を免れない。

 

 

海外から日本を訪れる観光客が増える中で、

日本なりのサービスに満足をしている方は、

そのトータルデザインに魅力を感じているはずである。

 

都会の和食レストランに満足するのではなく、

日本の原風景がある土地で食べる地元の食材に、

おもてなしされた食事に満足を覚えているのだ。

 

多くの人に求められる商品・サービスであれ、

一部の限られた人に求められるものであれ、

トータル的なデザインセンスを持った事業者が提供するものは、

単体しか考えられていないものとは、

大きく満足度が異なってくる。

 

そんな現代では当たり前となった価値観を、

これら9人のデザインセンスあふれる経営者は、

それが当たり前でなかった時期に構築されてきた。

 

だからこそ、32年の月日が経っても、

改めて彼らの言葉に耳を傾ける事には大きな意味がある。

 

私は、この著書を読み終わって改めてそのことを痛感している。

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