黒木町日記

実家のある福岡県の黒木町。2010年2月1日をもって、
八女市に吸収され、名前も聞く機会もめっきり減りました。
ちなみに、管理人は東京都暮らしを経て長崎県在住です。
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ホンダジェット 開発リーダーが語る30年の全奇跡 前間孝則著 読了。
評価:
前間 孝則
新潮社
¥ 1,728
(2015-09-25)
コメント:新しいプロジェクトに参加するメンバー・リーダーにぜひ一読していただきたい組織論溢れるビジネス書です。なぜMRJがうまく行っていないのもわかります。

この本の存在は、刊行された2015年9月に知っていた。

しかし、中々手に取る機会がなく、読み終わって正直後悔している。

もっと早く読むべきだったと。

 

現在、ホンダジェットは、年間60機以上のペースで納品がなされる、

商業化に成功した状況に到達している。

この機体開発において、スケジュールについては当初からは伸びているが、

FAAの型式証明を取得してから数年しか経過していないにも関わらず、

現在までに製造上で大きなトラブルが生じたという話は聞かない。

 

かたや、日本政府の大きな支援もあり進められている

三菱航空機のMRJは、開発にあたって数多くの不具合が出て、

発注先への納入予定がはっきりしていない状況にある。

 

その違いは一体どこにあるのか、この著書をしっかりと読み解いてわかった。

ホンダエアクラフトを率いる技術者は、すべて自らで作り遂げようと、

明確な意思を持ってホンダジェット作りに取り組んでいる。

それが、MRJを開発する経営陣からは伝わってこない。

ここが、二つのプロジェクトの現状を二分する要因ではないか。

 

 

この著書の作者は、IHI(元石川島播磨重工業)で、

ジェットエンジンの設計に20年関わっていた前間孝則氏である。

氏は、長年にわたって繰り返し、ホンダジェットの開発リーダー

藤野道格氏と藁谷篤邦氏(エンジン)にインタビューを行い、

試作機開発から型式証明取得まで綿密に取材を重ねている。

 

また、HONDA本体の歴代社長などにもホンダジェット事業化前から、

何度も話を聞くことで、如何にその創業者精神がホンダに

流れていることが、航空機開発という新しいチャレンジに

繋がったかという点からも非常に読み応えがある。

 

私は、1981年生まれで現在36歳であるが、

子供の頃読んでいた子供向け科学辞典には、

トヨタ自動車が飛行機を開発する想像図が載せられていた記憶がある。

SFアニメでも盛んに空飛ぶ車がイメージされていた。

 

一方で、この著書にも数多く触れられているように、

三菱重工や富士重工業など、多くの日本企業による

航空機開発事業をバブル期前後を中心に進められたが、

事業化は中々うまくいっていない。

 

航空機開発は、民需であれ軍需であれ、規模の大小を問わず、

巨額の投資と開発期間が必要なビッグプロジェクトである。

現に、ホンダジェットが日の目をみるにも30年が掛かっている。

 

考えてみても欲しい。

30年の月日を一つのプロジェクトに投下した日本発の事業で、

世界的な実用化に至っているものがどの程度存在するだろうか。

 

医療の分野ではIPS細胞などの取り組みがある。

光インターネットは、ある程度の技術蓄積がされている。

電気自動車については、まだまだ日本企業は競争力を維持している。

 

ただ、消費者が購入できる消費財で30年をかけて開発されて、

世界的に日本企業がマーケットを席巻しているものが、

この2010年代に存在している事例は非常に少ない。

 

その要因は、日本発の世界的企業ですら、

自らの力で、基礎研究から商品化、

そして消費者への販売までの仕組み作りが必要な、

全く新しい分野に取り組もうとする気概に乏しいからではないか。

 

その一方で、アメリカではIT分野を中心に、

グローバルな展開を行う企業群が豊富に存在し、

それを支える政府や投資家も非常に積極的に支援を行なっている。

 

 

「できない理由を探すのではなく、

希望を持って一つずつ課題をクリアしていく」

 

この著書において、最初から最後まで貫かれているメッセージである。

 

 

ホンダジェットがなぜ事業化に成功し、

多くのプライベートジェット機保有者からの注文を集めているのか、

その全貌は、本著を読んでいただく他にない。

とりわけ、私がこの著書の中で印象に残っている、

ホンダエアクラフト代表である藤野道格氏の言葉を引いて終わりにしたい。

 

(以下、本文より引用)

彼もホンダジェットのプロジェクトリーダーになった最初の頃は、

多くの会議を開いたという。

ホンダの良き伝統とされた、忌憚のない意見をぶつけ合う

”ワイガヤ”方式をとった。ところが、藤野はある意味でそれを否定する。

 

「客観的に振り返ると、航空機の開発においては、

そういうところから良いアイデアなどが

まったく生まれていないことに気がつきました。

 

まだ知識や専門性のない多くの人が

そうした会議に準備もなく来て議論したとしても、

生産的な結果はまったく出ない。

ただ会議に出て時間をかけること自体が

仕事みたいになっていたんではどうしようもない。

 

だから、会議は必要最小限にする。

あるいは、具体的な目的のない無駄な会議は

できるだけ開かないようにと、方針をガラッと変えたんです。

 

コミュニケーションは大切ですが、

そのためには参加するメンバーが十分な知識を有して

同じ土俵で本質的な内容を論じなければ

議論もかみ合わないし、ただ時間を費やすだけとなってしまう」

 

会議を減らした結果、どのようなことが起こったのか。

 

「すると、誰が一番重要な人なのかということが

だんだんわかってくるんですね。

会議を開かないと、自分で情報を集めないといけない。

自分で話に行かないといけない。

 

あるいは、自分で判断しないといけないことになって、

本当に仕事で重要な人や情報ソースを持っている人など、

仕事で必要な人の所に直接行くことになります。

 

誰が重要で、誰があまり重要じゃなかったのかということが、

逆によくわかってくるのです。

 

実はコミュニケーションというのは、

会議に出て人から与えられるものではなくて、

自分で取りに行くことなんじゃないのかというのがわかってきた。

 

そうした意識が定着してくると、たとえばアメリカに行っても

本当の専門家に直接話を聞きに行くとか、

直接教えて貰いに行くとか、

そういう変化がチームの中に徐々に表れてきたのです。

(引用終わり)

 

本著の終わりあたりに、この藤野氏がある著者の意図は、

多くの日本組織に訴えたかったのではないかと感じます。

 

コミュニケーションの意味を考えずして、

その場の結果を求めてもほとんど実効性はありません。

 

日本企業の収益性が他国と比べて低下しているのも、

政府自治体の収益構造が悪化しているのも、

これまでに行われた仕組みを本質的に変化させないまま、

小手先の変化で、現実をごまかそうとしているからです。

 

世の中にないものを作り上げていくためには、

その想いを持ったメンバーが、熱い情熱を持って、

魅力的なプロジェクトで一致団結していくことが必要です。

それを引っ張る大きなビジョンを掲げるリーダーの下で。

JUGEMテーマ:自分が読んだ本

 

私自身、小さな組織に属する人間として、

ホンダジェットが生み出される過程からたくさんの気づきを得られました。

読書 | 21:21 | comments(2) | - | - | - |
コメント
from:   2017/06/03 9:30 PM
ロケットも急須作りも全く同じ概念が必要。
深澤さんのプロジェクトを垣間見て学ばせてもらっています!
from: 深沢清   2017/06/03 8:27 PM
想いをもったメンバーが情熱をもって一致団結し、ことを成就させるのだね。ありがとう。これからのモノづくりは売り込みでなく、売れる商品つくりです。商品案内人は要るけど、売り込みセールスは要らない。買ってよし、使ってよし、造ってよしだね。その結果として、世間よしだよ。
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