黒木町日記

実家のある福岡県の黒木町。2010年2月1日をもって、
八女市に吸収され、名前も聞く機会もめっきり減りました。
ちなみに、管理人は東京都暮らしを経て長崎県在住です。
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生物と無生物のあいだ 福岡伸一著 読了
子供の頃に虫取りや植物を集めるのに夢中になった人も多いだろう。
けれども、大人になってペットを飼っている人以外が、
「生き物」に関心を持つことはそんなに多くないような気がする。
人間だって生き物の一つなのにもっと関心を持ってもよさそうなのに。。。

私は、もう旬はすぎたこの本をTUTAYAで見かけて思わず手にした。
さっそくと帯に書かれていたように止まらなくなり読み進んだ。
著者の素朴さが読み手の感覚をくすぐるのであろう。
以下エピローグ最後をご紹介したい。
―――――――
少年の心はずっとはやっていた。
待ちきれなくなった私は、卵に微小な穴を開けて内部を見てみようと決意した。
もし内部が”生きて”いたらそっと殻を閉じればいい。
私は準備した針とピンセットを使って注意深く、
殻を小さく四角形に切り取って覗き穴を作った。

するとどうだろう。中には、卵黄をお腹に抱えた小さなトカゲの赤ちゃんが、
不釣り合いに大きな頭を丸めるように静かに眠っていた。
次の瞬間、私は見てはいけないものを見たような気がして、
すぐにふたを閉じようとした。

まもなく私は、自分が行ってしまったことが取り返しのつかないことを悟った。
殻を接着剤で閉じることはできても、
そこに息づいていたものを元通りにすることはできないということを。
いったん外気に触れたトカゲの赤ちゃんは、徐々に腐り始め、形が溶けていった。

この体験は長い間、苦い思いとともに私の内部に澱となって残った。
まぎれもなく、これは私にとってのセンス・オブ・ワンダーであったのだ。
それはこうして生物学者になった今でも、
どこかに宿っている諦観のようなものかもしれない。

生物という名の動的な平衡は、それ自体、いずれの瞬間でも危ういまでの
バランスをとりつつ、同時に時間軸の上を一方向にたどりながら折りたたまれている。
それが動的な平衡の謂いである。
それは決して逆戻りのできない営みであり、同時に、
どの瞬間でもすでに完成された仕組みなのである。
―――――――
引用が長過ぎたが、この著を通して語られる福岡氏の想いを余すところない
文章だったので思わず紹介させていただいた。

私という人間、今私の目の前にいるリクガメ、
この世に数えきれないほど生息する生き物は、
瞬間瞬間を細胞レベルで変化させながら、今という時間を過ごしている。
見た目にはモノと変わらないような不変に感じるものも、
顕微鏡レベルでは絶えず変化し続けている。

翻って考えてみて、人間社会に不変を求める人はあながち多いように感じるが、
不変な存在が集って社会を形成している以上、変わらないことを求めても無理である。
そのレベルに立って、世の中を見渡してみると、あながち日々変わりながら、
新しい秩序を築こうとする行為のほうが、昔から引き継いだものを遺すことよりも、
より生物的な営みであるのかもしれない。

私は、ここで未来志向的な左翼の考えを進めるわけではないのだが、
社会科学も科学である以上、
自然科学から学ぶことは多いのではないかと、
この新書を読みながら、
ぼんやりと考えさせられた次第である、そこで最後に触れてみた。

春は新しい命が沢山生まれる季節でもある。
身近な命の営みに想いを馳せながら、
自分固有の人生という限られた時間を大切にしたい。
JUGEMテーマ:読書
評価:
福岡 伸一
講談社
¥ 799
(2007-05-18)
コメント:子供の頃に虫が好きだったけど、最近生き物なんて考える時間もない。そんな昔の科学少年少女にこそ読んでほしい親書です。

読書 | 20:21 | comments(0) | - | - | - |
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