黒木町日記

実家のある福岡県の黒木町。2010年2月1日をもって、
八女市に吸収され、名前も聞く機会もめっきり減りました。
ちなみに、管理人は東京都暮らしを経て長崎県在住です。
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電子書籍の衝撃〜本はいかに崩壊し、いかに復活するか〜佐々木俊向著 読了
まず、この本に興味を持ったきっかけは、
ソフトバンク孫社長@masason と佐々木氏@sasakitoshinao が
ユーストリームで5時間超の「光の道」について対談を行ったことでした。

孫氏も指摘するとおり、佐々木氏は、インターネットや様々な日本の産業構造に
ついて本質的な指摘を数々される、現実を理解されている評論家だということを、
書き起こし.com の対談内容をテキスト化されている文章を読んで感じました。

堀江貴文氏がtwitterで指摘していたり、「稼げる、ソーシャルフィルタリング」という本で
指摘しているとおり(読んでないですが)、私は最近本をよむきっかけとして、
本自体よりも、著者だったりテーマから書籍を参考にすることが多く、
今回も、佐々木氏が孫氏と対談していたり、プライムニュースで、
出版業界の構造について説明されているのを見て、この著書に間違いがないことを
確認して、書店に足を運んだ次第でした。

ちなみに、出版業界の流通構造の課題を指摘されていた佐々木氏の言葉通り、
商店街の書店を2店舗まわったところ、いずれの書店にも「電子書籍の衝撃」は
店頭にありませんでした。
結果、私は新小岩から電車に乗り、秋葉原の有麟堂書店にて購入しました。


さて、前置きが長くなりましたが、この書籍は、電子書籍について、
キンドル・iPadといったデバイス、書籍の情報を提供するプラットフォーム、
書き手の位置づけ、書き手と読者をつなぐ環境について、
分野毎に具体例をちりばめながら、全体の仕組みを捉えられた内容になっています。


iPadが日本で発売されるということで、
第一章のデバイスについては、今後様々な解説だったり、
使用感が増えてくると思いますので、はしょります。
ただ、キンドルの詳細を読んで、本読みとして是非とも手にしたいと強く感じました。

第二章は、電子ブックのプラットフォーム(配信の仕組み)についてです。
iTunesが音楽配信のスタンダードになったことは、かなり多くの方が
実感として感じていると思います。これと同じように、
これまで保守的でインターネット自体に懐疑的だった出版業界が、
AmazonとAppleそしてGoogleなどというインターネット企業によって、
電子ブックのプラットフォームの上に乗ろうとしている例を
特にアメリカの実例から解説されております。

もちろん、日本ではかなりの反対にあっていて、なかなかアメリカのようには
著しく書籍の電子化プラットフォームが立ち上がっていませんが、
遅かれ早かれ、iTunesのように古い業界が変わらざるを得ないのは、
必死だと感じます。それは、やはり音楽と同じで日本企業よりも、
アメリカ企業によってもたらされそうだと、私は感想を持ちました。

第三章は、書籍の電子化とはいったい、どうやって行うのかを
ISBNコードの取得方法やAmazonへのデータアップロードの方法を含め、
かなり具体的に説明されています。ここでももちろん、先行事例である
音楽のネット配信方法やその結果を解説されています。

第四章は、もともとアスキーという出版社に属した、
佐々木氏だからこそ書ける文章かもしれません。
日本の出版文化がダメになった理由について、概観されています。

なかなか面白いのが、独自取材された、ケータイ小説本からの視点です。
また、この章では以下の通り鋭い指摘がなされています。
以下、第四章から引用します。
--------------------------
そもそも、若い人は活字離れしていません。それを示す統計がいくつもあります。
たとえば、文部科学省が2009年11月に発表した調査結果。
図書館を使う小学生が2007年度に借りた本の冊数は平均で35.9冊もあり、
これは過去最高でした。
1995年には15.1冊しかなかったのが、その後3年おきの調査で25.8冊、
30.5冊、33.0冊と増えて2007年には35冊を超えてしまったのです。

図書館の利用回数も、1995年の3.2回から
2007年には6.7回にまで増えています。
また、全国学校図書館協議会は毎年5月に
「5月中に読んだ本の冊数」を調査していますが、
高校生が1970年代には平均4.5冊だったのが、
2004年には7.7冊にまで増えています。

一方で、50代以上の年配の世代では、本を読まない人が以前よりも
増えていることが、読売新聞などの調査で明らかになっています。
この世代はテレビ世代で、本にもともと親しんでいなかったのですから
当然といえば当然でしょう。
--------------------------
引用終わり
ちなみに平成19年度の貸し出し数(図書館全体)はここにソースがありました。
ただ蔵書数は、小中学校が増えているのに、高校では減っています。(著書には記述なし)
--------------------------

このような結果を踏まえ、佐々木氏は現在の若者は
読むという行為自体を携帯メール・インターネットの普及もあり、
むしろ積極的になっていると指摘しています。
また、その結果多く登場したケータイ小説ですが、その内容は、
すべてがフィクションとしてではなく、断片を切り取るとリアリティが有る点が、
多くの読者をひきつけていると指摘されています。

つまりは、この章では、活字離れという社会的な課題ではなく、
読者のニーズに沿ってサービスを提供できていない出版業界にこそ、
数々の出版社が倒産してしまうほどの難しい事態の要因を指摘されています。


そして、第五章では全体のまとめとして、本の未来というテーマで
往来堂書店松丸本舗など、主体性がある書店などをとりあげ、
ソーシャルメディアと出版事業のリンクという側面から、
今後の出版業界のあり方を捉えられています。

この本では、テーマが電子書籍ということで、もちろん業界としては、
出版業界がメインテーマなのですが、デバイスの変化、
サービスインフラの構造変化、サービス自体の提供方法の変化、
そして提供者、利用者の価値観の変化など、
その他の業界にも様々な当てはめることができる本質的な追求であると、
私は読了した感想を持ちました。

以下の文面は、この本の中でもっとも印象的でした。
第四章から引用。
------------------
本書の冒頭で、本の出版点数は80年代に比べると3倍近くに
まで増えているという数を紹介しました。
「本が売れなくなっている」と言われているにもかかわらず、
これだけ点数が増えてしまった背景には、実はこのニセ金化現象があったのです。
「本がうれない」「返本が増える」「取次に返金しなければならない」
「だったら本をとにかく出し続けて、返金で赤字にならないようにしよう」
「ますます刷る」「ますます売れない」
「いよいよ赤字が心配」「だったらもっと刷ろう」・・・・。
こういうバカげた自転車操業的な負のスパイラルが延々と繰り返されて、
無間地獄に落ちていっているのが今の出版業界なのです。
------------------
(引用終わり)

この文章は、他の売上が下がっている業界や、過当競争の業界、
人々の関心をなくしつつある政治の世界にも当てはまるのではないでしょうか。


本質的な問題点を解決することなく、表面的に繕ってきた日本、
財政状況にその結果が集約されつつありますが、
さまざまな産業構造もそれは同じことです。

まさに黒船来襲に右往左往する江戸末期の幕府のようです。

この著書でも指摘されるとおり、
本の書き手、提供する書店、読み手が現状に捉われず新しい、
関係性を作ることさえできれば、全てを悲観的に考えることもありません。

私も自らの置かれている立場を決して悲観的に捉えずに、
違った角度から見ることを忘れないようにしたいものです。
丁度、本日の龍馬伝で勝海舟も言っていましたが。
JUGEMテーマ:ビジネス
評価:
佐々木 俊尚
ディスカヴァー・トゥエンティワン
¥ 1,155
(2010-04-15)
コメント:少なくとも本読みは一読したほうがよい一冊だと感じました。それからこれは出版に関わらず日本の産業構造自体の概観の記録でもあります。

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